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2010年度
Fiscal and Financial System in Japan A
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Fiscal and Financial System in Japan A
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基礎文献購読(2009年 春学期) 全体のまとめ
2009年度の基礎文献購読では,文系的性格の強い国際学部の学生諸君が統計学的な視点・考え方に親しめるように,小島寛之さんの『完全独習 統計学入門』の前半部分(統計的推測への導入まで)を読みました.
統計学を選んだもうひとつの理由は,1年生の皆さんが今後どのような専門分野へと進んでいくにせよ,統計的なものの見方は「方法」として有効だと考えたからです.
毎回,ひとりの参加者がテキストのひとつの章を担当し,パワーポイントを使って内容を解説するというスタイルで運営してみました.
また,毎回,必ず全参加者から質問・コメントをもらうようにしました.
パワーポイントについては,他のメンバーの発表を見て学ぶという効果が大きく,回を追うごとにソフィスティケートされていったと思います.他の学生の発表から学ぶことは多いのではないでしょうか.今後,ゼミにもそのような視点から取り組んでみるとよいでしょう.
皆さんからの質問やコメント,参考になるものばかりでした.来年以降に活かしていきたいと思います.
まとめ1 プレゼンテーションの注意
自分の発表する内容を深く理解しよう.
発表者が自分の発表内容について深く理解しているほど,発表は聞き手にうまく伝わり,強い印象を残すものです.
逆に,発表をしてみることで,自分の理解できていない部分や理論の欠点が明らかになるという効果もあります.
自分の発表で強調したい点を明確にしよう.
「これだけはどうしても伝えたい」という点が明確になれば,あとはそこに自然にたどりつけるようプレゼンの構成を考えればよいのです.
また,強調したい点とそうでない点とが明確になれば,発表にメリハリが出てきます.
聞き手に語りかけるように話そう.
「私の話を聞いてください」というスタンスで発表したほうが,ペースを握ることができます.聞き手がレジュメに目を落とすような状況では,発表者は聞き手の反応がわからず不安になるのではないでしょうか.
1枚のスライドに多くの情報を載せない.
スライドには,複雑な概念を図式化することで直観的に把握させる効果があります.
スライド番号は必ず付けよう.
細かいことですが,重要な点です.聞き手が後で質問するとき,「8枚目のスライドに○○と書いてありましたが」のように利用することができます.スライド番号がないと,思った以上に質問しにくいものです.
まとめ2 統計学をより勉強したい人のために
今回,この基礎文献購読で取り上げたのは,統計学の中でも統計的記述と呼ばれる分野と,統計的推測と呼ばれる分野の導入部分です.統計的推測について,同じレベルで勉強を進める場合は,テキストの後半部分を読むとよいでしょう.
また,私が昨年,同じテキストをベースに名古屋商科大で行った講義の資料も参考になると思います.
今回は,数式展開や数学道具はほとんど使用しませんでした.数学的により厳密な理解を望む場合は,以下の教科書が参考になるでしょう.
 (1)宮川公男,『基本統計学』(第3版),有斐閣,1999年.
 (2)蓑谷千凰彦,『統計学入門』,東京図書,2004年.
どちらも高校レベルの微分・積分の知識を必要とします.これについては,意外に次の経済数学の入門書が役に立ちます.
 (3)佐々木宏夫,『経済数学入門』(日経文庫),日本経済新聞社,2005年.
実生活への応用についても,あまり多くの例をあげることができませんでした.以下の本が参考になります.
 (4)大村平,『統計のはなし』,日科技連,2002年.
 (5)大村平,『統計解析のはなし』日科技連,2006年.
 (6)飯田泰之,『考える技術としての統計学』(NHKブックス),日本放送協会,2007年.
統計学を経済学や政治学に応用した,「計量経済学」「計量政治学」という分野もあります.それぞれ,本学の経済学部・法学部で科目が開講されていますので,興味のある方は履修してみるとよいでしょう.統計学の基本知識があればスムーズに入っていけると思います.
これらを読み進めていて質問があれば,オフィスアワーに研究室を訪れてください.これらの本を超えてさらに勉強したいという人が現れたら,その人にとってすでに私の役目は終わっています.もう自分の力で上級書を読み進めることができるでしょう.