◇ 歌への思い ◇

Q.実際に発売してみてどうですか?
A.あんまり実感がないですね。
Q.まわりの反応というか反響はどうですか?
A.ニコ動でのコメントでは、アルバムの中で同じ曲をボーカロイドが歌っているのでどうしても比較されるというか、ボーカロイドと人間どっちがいい?みたいな論争が巻き起こっていてちょっとなんか私はそれを見てそもそもなんか根本的に違うんじゃないかと思うんです。もともと歌手を雇えないかわりにボーカロイドっていうものがいたんですけど機械だからどういう音域でも歌えるし、人間が出せない音域まで出るんですよ。人間の声とボーカロイドの声は声質的に共通点はあるんですけど、実質的にはぜんぜん別物なんです。あとボーカロイドが歌うことでその「匿名性」というかまっさらな状態で聴けると言うか・・・。ボーカロイドをずっと聴いているとボーカロイド以外聴けなくなるという瞬間があるんです。私もわかるんですが、癖になる声なんですよね、ある意味。すごい不自然で嫌なんですけど最初は、ずっと聴いてるとなぜか癖になってしまう、それがボーカロイドのおそろしさ。私はもともと自分が歌う目線でいろんな曲を聴いているんです。でもどうしても聞き専6っていう人がいっぱいいて、聞き専の人にとっては歌は人間が歌わなくてもいいのかなというか。なんかこうむしゃくしゃしたときとか嬉しい時とかに歌うものかなって私は考えていたんですがそうじゃない人、聴くだけの歌っていうのを今回の経験で思いました。
Q.人間の変わりとして生まれたボーカロイドの歌を、また人間が歌うというのが不思議なのですが?
A.ボーカロイドってマネキンのようなものかなって。着せ替え可能というか、服が曲だとしてそのマネキンに着せることでこんな感じですよーというのがわかるじゃないですか。でもマネキンだけじゃ不十分だからモデルさんに着せたり、自分で着たいと思うのでは。
Q.そもそもなぜボーカロイドに興味を持ったのですか?
A.ニコ動でいろんな人がオリジナル曲をアップしていてそれが結構よくて、曲をまず好きになったんですよ。それを歌っていたのがボーカロイドだったんです。
Q.歌うことは好きだったんですか?
A.なんか歌うと結構みんな褒めてくれるんですよ。(笑)あとストレス発散になるというか。大学2年生のときの授業で音楽を作る課題があったんですけど、どうせなら自分で歌って出そうと思っていたんです。そのときにマイクを買って、何でかは分かんないんですけど萌え系の復讐っていうテーマで(笑)作品を作ったんですよ。それで自分でエロゲー7というかギャルゲー8のオープニングみたいな曲を作って伴奏とかも全部自分の声で構成された曲を作って出したんです。それを褒めてもらってすごく嬉しかったんですけど。そのときに自分の声を自分で聞くのっておもしろいなあと思ったんです。
Q.自分の声を聞くのが好きっていうのは珍しくないですか?
A.ぜんぜん思っている声と違うじゃないですか、「こんな声なの?」みたいな。「こういう風に聞こえているんだ、へえー」って新鮮な驚きがなぜかそこにあるんですよ。自分の体から切り離された別のモノとして聞いているのかもしれないです。私じゃないのかも。
Q.今回の楽曲を自分で聞いてみてどうですか?
A.今回発売されたやつはすごく加工されているんです。作者さんが人間の声っていうのを音楽の素材として捉えているところがあって。だからその歌手を生かすというよりは音としてきれいに聞こえたほうがいいからといってかなり音程修正されているんです。だから私がこれを聞いても、自分が歌っているっていう気がしないんですよ。
6歌い手などにはまわらず、楽曲を聞くこと専門の人の事を指す。
7性描写を含む美少女アダルトゲームのこと。(近年では男性同士のBLゲームなども含む)18歳以上は購入・プレイ禁止。
8主な登場人物が女性であり、その魅力を全面に打ち出しているゲームのこと。ゲーム性よりもキャラクター性が重視される傾向にある。

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