卒業論文
<いちご大福>


【タイトル】
婚活地獄(ウェディング・ヘル)——女性誌の結婚特集記事にみる「理想の女性像」と性役割
Wedding Hell : “Ideal Women” and Sex Role in Marriage Hunting


【目次】
第1章 はじめに
 1-1 なぜこのテーマか
 1-2 本論文の問い
 1-3 「『婚活』期」の定義
 1-4 調査方法
 1-5 先行研究
 1-5-1 ロマンティック・ラブ・イデオロギー
 1-5-2 性役割
 1-5-2-1 「女らしさ」と性役割
 1-5-2-1 「男らしさ」と性役割
 1-5-3 性役割分業
 1-5-4 専業主婦
 1-5-5 近代社会と近代家族

第2章 「婚活」について
 2-1 「婚活」とは
 2-2 「婚活」の意図
 2-3 「婚活」ブームの背景
 2-4 「婚活」の現状
 2-5 「恋愛結婚」と「目的的結婚」

第3章 対象となる結婚関連記事
 3-1 対象となる雑誌
 3-2 なぜその雑誌か
 3-3 調査方法

第4章 「婚活」期以前(1984年—2007年12月)における 「理想の女性像」と内包される性役割
 4-1 調査対象
 4-2 変化のない女性像(1984-2016)
 4-2-1 「理想の女性像」と性役割
 4-2-1-1 「家事ができる」
 4-2-1-2 「料理が得意」
 4-2-1-3 「容姿がいい(可愛い・美人)」
 4-2-1-4 「献身的(尽くす・労る・世話を焼く)」
 4-3 該当記事なし (1984年—1991年)
 4-4 インテリア・雑貨特集 (1992年—1998年)
 4-4-1 理想の女性像と性役割
 4-5 仕事と結婚を両立する女性 (1999年)
 4-5-1 理想の女性像と性役割
 4-6 該当記事なし (2000年—2003年)
 4-7 女性のイメージ(2004年)
 4-8 ステレオタイプな女性像 (2005年)
 4-8-1 理想の女性像と性役割
 4-8-1-1 「保守的」
 4-8-1-2 「知性がある(賢い・常識的・マナーがいい)」
 4-8-1-3 「気が利く」
 4-8-1-4 「まめ」
 4-8-1-5 「仕事に理解がある」
 4-8-1-6 「癒し」
 4-8-2 まとめ
 4-9 追加されていく要素 (2006年−2007年4月)
 4-9-1 理想の女性像と性役割
 4-9-1-1 「明るい(朗らか・元気・たのしい)」
 4-9-1-2 「頼もしい(決断力がある・芯が強い・しっかりしている)」
 4-9-1-3 「穏やか」
 4-9-2 まとめ
 4-10 女性像転換期 (2007年5月—2008年4月)
 4-10-1 理想の女性像と性役割
 4-10-1-1 「怒らない・求めない・感謝する」
 4-10-1-2 「干渉しない・束縛しない」
 4-10-1-3 「浮気に寛大」
 4-10-1-4 「金銭管理や金銭感覚がしっかりしている・節約上手」
 4-10-1-5 「精神的に安定(感情的でない)」
 4-10-1-6 「男を立てる(褒める・プライドを傷つけない)」
 4-10-1-7 「ステータスにこだわらない(高望みしない・経済力を望まない・打算的ではない・ストライクゾーンが広い)」
 4-10-1-8 「ガツガツしない(焦りを見せない・前のめりにならない)」
 4-10-1-9 強調された要素・変化した要素
 4-10-1-9-1 「容姿がいい・常に外見に気を使う(体型維持・おしゃれ)・色気がある」
 4-10-2 まとめ

第5章 「婚活」期(2008年−2016年)における「理想の女性像」と内包される性役割
 5-1 調査対象
 5-2 能動的な女性 (2008年5月〜2008年12月)
 5-2-1 理想の女性像と性役割
 5-2-1-1 「子供好き」
 5-2-1-2 「能動的(主体的・積極的)」
 5-2-1-3 「好意を示す」
 5-2-1-4 「スキがある」
 5-2-1-5 強調された要素・変化した要素
 5-2-1-5-1 「ステータスにこだわらない(高望みしない・経済力を望まない・打算的ではない・ストライクゾーンが広い)」
 5-2-2 まとめ
 5-3 自立した女性 (2009年)
 5-3-1 理想の女性像と性役割
 5-3-1-1 「仕事をもつ・経済力を身につける」
 5-3-1-2 「支える(養う・力強い)」
 5-3-1-3 「自立(できることは自分でやる・やってあげる)」
 5-3-2 まとめ
 5-4 なんでもできる女性 (2010年—2011年3月)
 5-4-1 理想の女性像と性役割
 5-4-1-1 「お金がかからない」
 5-4-1-2 「親しみやすい(飾らない・気取らない・自然体)」
 5-4-1-3 「リードする」
 5-4-1-4 「コミュニケーション能力が高い」
 5-4-1-5 「高飛車でない」
 5-4-1-6 「惚れやすい」
 5-4-1-7 強調された要素・変化した要素
 5-4-1-7-1 「金銭管理や金銭感覚がしっかりしている・節約上手」
 5-4-1-7-2 「精神的に安定(感情的でない)」
 5-4-1-7-3 「ステータスにこだわらない(高望みしない・経済力を望まない・打算的ではない・ストライクゾーンが広い)」
 5-4-1-7-4 「仕事をもつ・経済力を身につける」
 5-4-1-7-5 「支える(養う・力強い)」
 5-4-2 まとめ
 5-5 自然体な女性 (2011年3月—2012年5月)
 5-5-1 理想の女性像と性役割
 5-5-1-1 強調された要素・変化した要素
 5-5-1-1-1 「献身的(尽くす・労る・世話を焼く)」
 5-5-1-1-2 「親しみやすい(飾らない・気取らない・自然体)」
 5-5-2 まとめ
 5-6 能動的かつ癒せる女性 (2012年6月—2013年)
 5-6-1 理想の女性像と性役割
 5-6-1-1 強調された要素・変化した要素
 5-6-1-1-1 「リードする」
 5-6-2 まとめ
 5-7 ステレオタイプな女性再来 (2014年—2016年)
 5-7-1 理想の女性像と性役割
 5-7-1-1 強調された要素・変化した要素
 5-7-1-1-1 「料理が得意」
 5-7-1-1-2 「ステータスにこだわらない(高望みしない・経済力を望まない・打算的ではない・ストライクゾーンが広い)
 5-7-2 まとめ

第6章 「理想の女性像」の要素に内包される性役割
 6-1 この章の位置づけ
 6-2 「理想の女性像」の要素一覧
 6-2-1 世話をすること
 6-2-2 男性の性的対象となること
 6-2-3 従順であること
 6-2-4 純情であること
 6-2-5 主体的であること
 6-2-6 経済的な責任を担うこと

第7章 「婚活」期以前と「婚活」期と比較する
 7-1 この章の位置づけ
 7-2 「婚活」期以前の特徴
 7-3 「婚活」期の特徴
 7-4 「婚活」期以前と「婚活」期を比較する

第8章 考察
 8-1 この章の位置づけ
 8-2 「理想の女性像」と性役割
 8-3 「婚活」期以前と「婚活」期を比較して

第9章 さいごに
 9-1 反省と今後の展開
 9-2 感想


【和文要約】
 本論文は、「婚活」期における「理想の女性像」を性役割の観点から明らかにしたものである。女性像に関する研究はすでに数多く存在していたため、研究の余地のある「婚活」をテーマとして取りあげた。題材には女性誌4誌を扱い、「理想の女性像」の変化を「婚活」期とそれ以前で比較して調査した。
 調査の結果、「婚活」期以前は、「男性の性的対象となること」や「人の世話をすること」など、一般に「女性の性役割」とみなされるものが求められていたが、「婚活」期になるとそれらに加えて「男性を養える経済力」や「男性をリードすること」などの、「男性的な性役割」とされるものまでもが求められるようになっていた。
 しかし、「男性的な性役割」が女性に求められるようになりつつも、「女らしさ」から逸脱しないことを忠告する言説も多く存在しており、男性の支配的な視点が「理想の女性像」に内在していることがみてとれた。女性は以前にもまして性役割の二重規範に縛られているといえるだろう。

【Summary】
 The purpose of this paper is to discuss "Ideal woman" of marriage hunting regarding the sex roles.
 I selected a marriage hunting as a subject of my study, because despite the study of "Ideal woman" has been researched a lot, only a few researchers deal with this theme. For the survey, I researched articles about a marriage from 4 female magazines. Moreover, I analyzed the change of “Ideal woman” by comparing the period of marriage hunting with before that period
 As a result of this survey, it was discovered that a requirement for a woman changes depending on the period. Before the period of marriage hunting, women are required to be feminine in general because a woman is considered as a sex object and a housewife.
 On the other hand, a woman in the period of marriage hunting is additionally required the male roles such as a financial strength and to lead a man.
 However, while a women is required the male role in marriage hunting, there are still many statements that being feminine is essential for a woman all the time. Therefore, it is obvious that there is the point of view of male dominant society in the image of ideal women.
 Women might be more controlled by the double standard of sex roles.



TOP