人を操作することへの欲望はいかに掻き立てられるか――2冊のビジネス書を比較する

Desire for manipulating the mind of others in the practical guides

人を操作することへの欲望は、いかに掻き立てられるだろうか。

「人の心を操作できるだろうか？」そう問われたとき、「うまくやればできる気がする」「そんなことはできない」の二通り、答えを述べる人がいるだろう。私は、前者の答えを選ぶ考えの持ち主であった。だが、本当のところ、人の心が動くのは、その人自身の意思無くしては不可能である。しかしながら、巷には「人の心を操作できる」「思いのままに動かせる」「洗脳できる」といった売り文句の書籍が多数存在する。それが出版されている事実は、私以外にもそれを可能だと思い、そのノウハウを手に入れたいと思う人が存在するということを示している。なぜ人を操作可能だと思ってしまうのだろうか。そのような書籍の中で、人を操作したいという欲望は、いかに掻き立てられているだろうか。本論文では、その欲望が「ブラック心理術」と銘打つ書籍にあらわれるのではないかと考える。そして、恐らく「ブラック心理術」という言葉が一番はじめに使われたと考えられる『人たらしのブラック心理術』（内藤誼人　著　大和書房　2005年）を取りあげ、同じくビジネス実践書である処世術の本、『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』（岩崎夏海　著　ダイヤモンド社　2009年）と比較し、分析していく。

“Will we manipulate the mind of others?” when I asked that question, I answered “Yes, I will, if we do it well.”

However, we can’t manipulate other’s mind. Although that fact ,Many practical guides adopt that idea as titles――”We can manipulate other’s mind .” “We can brainwash others.” Existences of these books show our desire to manipulate other’s mind. Still we want to operate others. Why we think others manipulation possible? And why we wish to manipulate others?

This thesis compares two practical guides――”Black psychological art of Hitotarashi” (Original title: "Hitotarashi-no-burakku-shinrijutsu.") and ” If Manager girl of High School Baseball Championship reads “The Manegement”” (Original title: “Moshi-koukouyakyuu-no-joshimane-ja-ga-dorakka-no-manejimento-wo-yondara") And we probe how the desire stired.