卒業論文 振り返り
概要

この論文は、人の心を操作したいという欲望はいかに掻き立てられるのだろうかという疑問を出発点として書き進めたものです。問題に近付く手立てとして、題材を「ブラック心理術」としました。ブラック心理術と銘打つ書籍には、「人の心を操る」「人を洗脳する」等の売り文句が付いており、そこに、人の心を操作することへの欲望が潜んでいるのではないかと考えたためです。そして、その欲望が潜んでいないビジネス書と、ブラック心理術と銘打つ書籍とを比較し、人の心を操作したいという欲望が、いかに掻き立てられているのか、調査していきました。具体的には、欲望は、本文中における、主張を支えている箇所に潜んでいるのではないかと考えたので、両書の主張が如何に支えられているのかに着目して分析を進めて行きました。




講評
  • 主題の把握が出来ていない。
  • 分析は「主張が如何に支えられているか」に着目して進めてあるが、それは一般的な文章の表現方法であり、それだけでは主題である「人の心を操作したいという欲望が如何に掻き立てられるか」に近付くことは出来ないのではないか。
  • そもそも「ブラック心理術」は、社交術を記した書籍である。その中に潜む欲望を探っていくのが狙いだったが、そのための視点や分析の方法が不十分である。
  • 固定観念・自分の思い込みによって分析を進めてしまっている。
  • 「それ以外のものは受け付けない頑なさ」から抜け出せていない。
  • 何か固い殻に閉じこもっているようである。それを打ち崩す必要がある。
  • 自分の頑なさを認め、自分が感じたり、考えたり、大切にしているものは、そんなに大事じゃないことを知るべきである。




  • 反省

    分析は、書籍中の節ごとに行いましたが、節ごとに分析の方法や論じ方が、バラバラになってしまっています。また、ブラック心理術の書籍中で、正当な理由なく分析を断念してしまった節が7つあります。そのことを指して論文中でも「断念」という言葉を使ってしまい、これは論文の説得力を著しく損なうことだと考えます。

    本論でわかったことを通して、この論文の問いである「人の心を操作することへの欲望はいかに掻き立てられたか」に十分に触れられなかったうえ、自分の欲望と照らし合わせて考えるに至っていません。

    全体として、まず、体裁が整っていないことが重大な反省点です。文章も、何を言いたいのか分り辛いと感じます。体裁を整えることは、論文を読みやすいものにしてゆくこと、読む人の立場に立って自分の論文を客観的に見直すことでもあります。その体裁が整っていない箇所が多くみられるままに提出してしまったことがまず大きな反省点です。

    また、ゼミでは、体裁を整える期間がきちんと定められていました。しかし、それにも関わらず、そのスケジュール通りに進めることをしませんでした。それは、書き始めたのが遅かったうえ、自分がいま出来ることは何なのかを考えずに論文を書きすすめてしまったことが大きな要因であると考えています。本論中において採用した分析方法は、残された時間から逆算した時、自分のキャパシティを大きく上回ったものでした。したがって体裁を整えていくべき期間にも、本論を書き進めることとなっていまいました。言いかえれば、自分が持っているキャパシティの小ささを認めたくなかったということもできます。結局体裁も整っていないうえに、まとめの分量も少なく、問いにも答えられていないままの、中途半端なものを提出することとなりました。自分の力量をはじめから認めて、それで実現可能な分析方法、スケジュール組みを採用するべきだったと考えます。分量だけ多くて、何を明らかにしたいのかわからない論文であると感じています。

    また、「自分の殻に閉じこもっているかんじがする」「頑なである」ということを、講評でも指摘を頂くことになりました。主に卒業論文の分析を自分の考えだけで進めてしまったことや、発表に向き合う姿勢に対してのご指摘だと捉えています。ただ、お話を聞いていると、きっとそれに関してだけではないのだろうということも思います。夏の合宿でもまったく同じ指摘を頂いていました。それは、1年間を通して自分に変化をもたらすことができなかったということです。人の話を聞いて、柳のように柔軟に変化していくこと。口頭諮問のコメントを頂いて、これがわたしの克服するべき課題のうちのひとつであるということが明確になったと思います。いままでは聞き流していた会話の中でも、どんな形であれ自分に向けられた「戒め」「喝」と受け取れるものに関しては、正直に受け止めるようにしなければならないと思いました。