(!)漱石//4月発表

▼発表テーマにおいて

テーマとして選択したのは趣味の衣装製作から派生して『コスプレ』について。 また、夏・冬と開催される同人即売会コミックマーケットにおいてコスプレを目的に来場する人々が一万人を超える、またはローカル番組ではなく、キー局においても漫画コンテンツなどの特集組まれるようになったことと伴い、公の場においても目にする事が大きくなってきた。
ジャンルとして大きく確立しつつあるコスプレというジャンルであるが漫画などのエンターテイメントコンテンツである一方、二次元での表現、絵や小説、音楽、評論など媒体に限りがある表現方法の中で、唯一自分の体と二次元を融合させた2.5次元の表現方法として存在する、「コスプレ」は紙媒体の他表現方法と異なること、他の漫画収集などと比較しては高額な趣味という印象分類されるコスプレは具体的にどの程度費用を要するのか。ジャンルとして大きくなるにつれて、若年層も多く存在するなかで掛ける費用にどれ程の格差が存在しているのか。 自身がその趣味に向けて、基本的に再現という部分に重点を置き、金額は多く掛けている一方、ある程度楽しみに重点を置いて行っている人々も存在している、その趣味の世界に身を置いていて感じた意識格差を、改めて意識する為にも今回このテーマを選択した。

▼発表を終えて

まず第一に、「とても高価な趣味である」といった自分の考えを目の前に偏見か、事実かを確認すべく具体的な数字を探す為に、コスプレイヤーにアンケートをとった「cosmode:Vol.33」を用意し、具体的な金額を明示する様に心がけた。 また、コミックマーケット公式サイトが示している来場者数、参加サークル数、実際の大手コスプレSNSサイト・アーカイブ/Cureの登録者のデータを確認することで、過去から現在にかけてのコスプレイヤーの増加の推移を数字として残した。
また、今回デメリットの部分として一番大きな割合を占める事となった「露出レイヤー」という問題点 をあきらかにする為、それに伴ってどの様な問題が実際に起こったかをTwitterの情報を元に、炎上したAV女優本人のブログ、またそれにともなったまとめを参考にした。 また時間の制限によってカットする事となってしまったが、この作業に伴い、今までAV女優の炎上と同様の問題が起こってはいないかという部分を確認し、この「露出レイヤー」という問題とコスプレがどの程度長い間一緒にあるのか、という部分を調査した。
何故、コスプレをするのか?という疑問に関しては回答出来たのではないかと考える。 人気レイヤーという括りの現状、また本人達の画像を用いる事によってどの様な人物達が活躍しているのかという事を目視で確認することが出来た。 また、身近に「コスプレ」という存在がない人々にとって、どの程度何が必要であるのか?という部分が非常に曖昧になるのではないかという懸念を元に作成した為、一番分かり易い表現手段であり、具体的な数字という部分を心がけ、推移などによって流れを読み取れる様に出来た。 一方で「おたく」「コミックマーケット」「同人誌」といった単語をある程度知っているという前提で話してしまったため、「初めて聞く人」の存在を除外してしまったこと。 しかしながら、資料が足りなかった点、具体的な数字に欠けること、これらは今後より深く掘り下げていく際は、多くの「コスプレイヤー」からのアンケートによる情報収集必要になると考えられる。
また、「二次創作」という部分に注視し過ぎたため、「二次創作」の比較として例には出したものの、実際紙媒体(主に同人誌)や音源媒体としての二次創作と、2.5次元という括りに存在する「コスプレ」というものを「何故(もしくは、どの様な点をもって)二次創作として同一なのか?」という点を深く掘り下げる事ができなかったこと。 また、原稿作成の際に途中で気付いた事を書き足してはいたものの、ちゃんとした文として形成していなかったため、発表の際に語尾などを考える時間を要してしまい、時折詰まりがちな発表に なってしまったことが問題として挙げられる。

▼ディスカッションについて

コスプレイヤーの表現はどのレベルの物が「満足いくもの」であるのか、またそのレベルに達していない場合は何に楽しみを求めるのか?という疑問に対して。「自分の体を使う」という点で同人誌などとは違った別の領域に属する物であるとは考えられがちではあるが、実際コスプレをして最終的に「そのキャラクターのifを写真に残す」という点において、自分なりの虚構化、物語の落としこみ、自分なりのキャラクターのifの物語を作成するといった、同人誌と同じ領域に属する物であること。
また、これは「おたく」間のコミュニケーションツールと化しているのではないかという答えにいきついた。「語る」という事でお互いの妄想空間を共有する、その事に楽しみを覚える「おたく」にとってイラストの交換や、自分で小説を執筆する様な行為と「コスプレ」は同義であるという回答をした。しかしながら、イラストは目に見える上達があるが、「コスプレ」においてはそういうものではなく、その上達に対しての志向性は、コスプレにおいては「そのキャラクターの再現度」において見られる。 二次創作という要素よりは、コミュニケーションツールとしての要素が大きくなる場合もある。
また何故、露出レイヤーという存在は露出をするのか?加えて、それはどのレベルの物であるのか?そういった存在はどこで確認することができるのかまた、この議題においては「コスプレ」だけに限らず、ソーシャルネットワークにおいても「性的」に 見られる事を望む存在があるという事が判明した。現状は顔を出さない事、日常の自分と別の自分を表現できる場というのは、抑圧された欲求を解放し易い、もしくは危険だと認識しにくい、手軽であるが故に承認欲求を満たす為に使用され易いという回答をした。 露出レイヤーという存在が非常に現状放置されている様な、もしくは注意喚起が難しい状況にあることは、「性的にもゆるい空間になりやすいのではないか?」という疑問が生まれた。



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