▽卒論を執筆するにあたって
  わたしは「ミュージカル テニスの王子様」(以下、テニミュ)について、卒業論文を執筆した。ゼミに入った当初は、べつのテーマで卒論を書こうと考えていたが、自分といちばん長くかかわりがあるもの、いまの自分が考えるべきものとして考えたとき、わたしにとってそれはテニミュであった。わたしは自分の年齢の半数以上をテニミュを観てすごし、いまでもテニミュを観続けている。しかし、それは思い返せばほんとうに「ただ、観ている」だけであった。せっかくこれだけ長い間テニミュを観続けているのに、「何を見ているのか」と聞かれた時に答えることもできない。初めて真剣にテニミュと向き合ってみたい。そんな気持ちからこの卒業論文を執筆した。



▼卒論のながれ
  まず、テニミュは、出演者が皆男性であること、主として歌とダンスで構成されていること、ファンは女性であること、などの要素を考えて、そもそもテニミュを文字通りミュージカルとして論じていくのではなく、キャストの卒業制度などがあることも含めて、アイドルとして仮定した。同じような要素をもつやおい作品とも比較をおこなった。そして、実際の公演映像を見るなかで、そこで行われているできごとを細かくひろっていった。また、同じ公演を観ていたファンのブログをできるかぎり読み、ファンはどのようにテニミュを観て語っているのかを考察した。


▽反省・口頭試問をうけて
  「テニミュと真剣に向き合う」、この目標は自分自身では達成できたとおもう。しかし、論文としては観察量がすくなく、またファンの語りももっと多く得るべきだった。今回はあいにくひとつの公演について記述することしかできなかったが、本来ならもっとおおくの公演を観ていれば、もっとテニミュについて深く掘り下げることも、ファンの語りも見ることができただろう。そして、公演同士を比較するだけではなく、そもそも10年以上つづいている「テニミュ」全体の流れや変化などももっとこまかく調査すべきであったと、いまになってようやく冷静にかんがえることができる。そして、なによりもせっかくテニミュをミュージカルではなくアイドルと仮定したにもかかわらず、関連付けることなく終わってしまったのがいちばんの反省点であり、今後自分が追究していきたい課題となった。
  口頭試問では、アイドルとの関連がなくなってしまったという指摘は当然受けた。そして論文にひつようなことは「一定」はできている。という評価をいただいた。この評価を聞いて、すこし安心してしまったこともあったが、よく考えてみれば、もっと書くことができたということである。卒業論文としてはそこまでで終わってしまったが、こうしてテニミュと向き合ったのだから、論文を書く前のようになんとなくテニミュを楽しんでいるという自分にもどらないよう努めていきたい。