13年度長谷川ゼミHP/About

about

長谷川ゼミについて紹介します!

【はじめに】
 こんにちは!こちらは《明治学院大学 文学部芸術学科 芸術メディア系列 2013年度長谷川ゼミ》のホームページです。
このホームページはゼミを卒業するまでの取り組みを載せ、皆様に報告させていただく場として考えています。
各々が試行錯誤を重ね、成長していく過程を記すことがこのホームページの目的です。
今年度の長谷川ゼミは学部生10人、院生2人の計12人で、「卒業論文」および「修士論文」を執筆することを目標に日々活動をしています。
そんな長谷川ゼミの特徴として1番に挙げられるのが、「どんな題材でも卒論および修論が書ける」という点です。
だからといって、ただ好きなものを語ればいいというわけではありません。その題材に対して「メディア論的視点」が求められています。


【長谷川ゼミにおけるメディアの意味】
 「メディア」というと、いわゆる新聞やテレビなどのマス・メディアを連想する方が多いかもしれません。
しかし、R.ウィリアムズ著『キーワード辞典』 には、「media」の意味についてこのように書かれています。
「①古い一般的な意味で、あいだに入ったり、媒介する作用や実体、②印刷、音声、視覚などを媒体として区別することに見られるような、
意識的、専門的な意味、③新聞や放送事業という、すでに存在する、あるいはこれから計画可能なものが、広告など何か別のもののための
media(媒体、媒介手段)とされるような、特殊な資本主義的な意味、という三つの意味である。」
このなかで、私たちが頻繁に用いているのは、③の特殊な資本主義的な意味においての「media」であるといえるでしょう。
しかし、芸術学科メディア系列に所属する私たちは、今までの3年間、そのような使われ方ではないもっと幅の広い意味での「メディア」について
学んできました。それは①の、「あいだに入ったり、媒介する作用や実体」としてのメディアです。
私たちは何か物事を見るとき、かならずある「フレーム」や「枠組み」を通してそれを見ています。
これらは人の考えや見方を制限する働きをするものです。その枠組みは、自分ではなかなか気付くことができません。
なぜなら、それが自分にとって「当たり前」になってしまっているからです。
私たちが授業でやってきたのは、自分では当たり前になってしまっている、この“枠組み”というものの見方を相対化し 、認識することです。
そして、この枠組みこそが「メディア」なのです。 そのため、前文で述べた「メディア論的視点」とは、既存の枠組みを意識したうえで
、 新たな枠組みを用い考える視点であると言えます。


【いままでの授業でやってきたこと】
 私たちは、この“枠組み”を意識するために、これまでの授業でさまざまな課題に取り組んできました。
そのいくつかを紹介したいと思います。

 2年次前期の授業では、「名刺ではない名刺」として自分を紹介するのにもっともふさわしいツールを発明しました。
その名も「自己紹介ツール」です。氏名と所属だけが表記された「名刺」という枠のなかにおさまらず、自分をより相手に分かってもらうための特徴
(性格や好きなものなど)を表現できる「新たな枠組み」を考えていくことが重要であったと思います。

 2年次後期の授業では、「デジタルストーリーテリング」という写真とナレーションを使った映像作品を製作しました。
「映像」という多くの人に同時に見てもらうことのできる媒体を使って、個人が「今自分にとって切実なこと」を表現しました。
それを見てもらう数分間は、見てもらう相手の人生の数分間を自分のために捧げてもらっている、と捉えることができます。
それはある意味で暴力的な行為です。
しかしそれだからこそ、表現する中身は中途半端なものであってはならない、という意識を常に頭の中に置きながら全員が作業していたと思います。
それぞれが、ありふれた言葉や、考えを抑制する固定観念に囚われず、とにかく自分の内なる物を恥じらわずに吐き出すことに意識を置きながら製作しました。

 また、3年次の夏期休暇中に行われた「芸術メディア論特別演習」では、5日間「なぜ働くのか」について4、5人のグループで話し、最終日に上演形式で発表をしました。
ここでは「働く理由」についてもっともらしいことや一般論を挙げればそれで良いというわけではありません。
この講義において必要なのは、まずそういった一般論の枠組みを意識することであり、ときにそれを前提として物事を考えているということに気付くことです。
そしてそれを意識しつつも、そのなかで自分だからこその言葉や考えを模索し、話し合うことでグループ独自の表現を探さなければなりません。
私たちも始めこそ迷走を重ねてはいたものの、じっくりと各々の経験や働くということに対しての考えを出し合い、ときにぶつけ合うことで
次第にそのグループだからこその考えや伝えたいことを見つけられたと考えています。
 3年次後期の授業では、「本ではない本」という課題では、4、5人のグループで雑誌を製作しました。
しかし、これはただの「雑誌」ではありません。
それぞれの関心のある題材で論考を書き、冊子の形ではない、既存の本とは異なる形の「雑誌」を発明することが課題でした。
ここで大切だったのは、持ち寄った論考に相応しい「独自の形態」を発明することでした。
そして、ここでも2年次の自己紹介ツールと同じく、グループのメンバー全員の論考が生きる、新たな枠組みを考えていく必要がありました。


【ホームページのデザインについて】
 これらの授業を通して、私たちは自分たちの物の見方が、いかに「ある決まった枠組み」のもとに縛られているのか、
少しずつではありますが、意識し始める段階に来たのではないかと思います。

 そうして今年のゼミテーマ及びホームページのデザインは、物の見方を広げ自分の世界を広げていきたい、成長の過程を記していきたいという想いから、
「航海」という設定になりました。
そのためトップページでは、背景として大海原がデザインされています。また、カーソルとして漂う小さな船は私たちを示しています。
今後この大海原には、私たちの活動の記録となるコンテンツのリンク先が、大陸として発見されていく予定です。
そして、このホームページのコンテンツのひとつである関心地図(※1)に関してはチームを2つに分けて活動をしています。
それを示しているのが航海に使用される「羅針盤」です。
この羅針盤は当ホームページのTOPページも飾っています。 私たちはこの羅針盤に書かれた「S極」「N極」という2つの極を使用して、
それぞれを「Sチーム」「Nチーム」としています。では、なぜ「S」「N」を使用することになったのでしょうか。

 私たちが今まで受けてきた長谷川先生のメディアの授業では、常にグループワークが課されてきました。
そこではお互いに意見を交わし合い、自分の考えているアイディアや考えについて話を聴いてもらったり、相手の話に疑問を投げかけたりして進めていきました。
その過程を経ることによって、最終的に創り上げる作品は、1人で考えるよりもより良いものになっていくと感じました。
そのことを、グループワークを通した作品製作を行いながら、私たちは肌で感じ学びとっていったように思います。

 そして、ここで経験したグループワークは、いまゼミというグループで活動する私たちにとって、欠かせない経験となっています。
私たちはゼミで活動する事にはどんな意味があるのか、ゼミにおいて互いの関係がどうあるべきか、話し合いました。
その話し合いの中で頼りになったのが、ゼミの活動が本格的に始まる前に行ったメーリングリストを通じた自己紹介です。
この自己紹介において、私たちゼミ生はそれぞれゼミ活動への意気込みや目標を語っていました。
それらを振り返ってみた時、共通していた目標が「積極的に意見を言う、または聴く」「互いに高め合う」「互いに刺激をし合って成長する」
といった相互関係を目指す事だったのです。
私たちはその考えから「磁石」 のような関係を連想しました。私たちが目指すのは磁石のように互いに影響し合える関係だと考えたためです。
また先ほど記した通り、私たちは今年のゼミのテーマを「航海」と設定したため、それと結びつけ最終的には「羅針盤」をTOPページのデザインに決定しました。
「S」と「N」というチーム名は、この羅針盤の極が由来となっています。
チームを磁石の極で表す事には、ゼミ生の互いに刺激し合おうという熱い想いが込められているのです。


【おわりに】
 この1年を通して、いったいどのように私たちが成長していくのか、ゼミ生自身としても未だ想像が付かず不安と期待が入り交じっております。
ですが、この1年という長くも短い時間のなかで、私たちなりに精一杯たくさんのものを見て、考え、ときに悩んで自分の世界を広げていきたいと思っております。
皆様にはそんな私たちの“航海”の記録を見ていただくと共に、成長を温かく見守っていただければ幸いです。


 2013年5月14日 長谷川ゼミ生一同


※1 関心地図の作成・・・このゼミが本格的に始動する前の春期休暇中、各々が写真を1枚ずつ出し合い、
全員それぞれその写真から連想したことについて1000字程度のコラムをやり取りしていました。
現在(2013年5月)そのコラムを各チームのやり方でひとつの地図に位置づけする作業を行っています。
(詳細はいずれページをつくり報告させていただきます!)

参考
『完訳 キーワード事典』(R.ウィリアムズ著 /平凡社/2002)