くぼっち
~目次(最終版)・概要~

「友達みたいな親子関係」は、いかに語られてきたのか――『児童心理』1970-2013を読む
A Discourse Analysis on “Parent and Child as Friends” in “Child study” 1970-2013.


第1章 序論
 1-1 何故このテーマか
 1-2 先行研究
  1-2-1 友達親子
   1-2-1-1 友達親子
   1-2-1-2 『季刊子ども学』
 1-3 アプローチ
 1-4 本論文の構成

第2章 「父親不在」と母親優位の時代(1970年~1980年)
 2-1 時代背景
  2-1-1 核家族化
   2-1-1-1 核家族化の背景
   2-1-1-2 核家族のメリット・デメリット
  2-1-2 親の権威としつけ
   2-1-2-1 制度から友愛へ
   2-1-2-2 親の権威・しつけ
  2-1-3 「父親不在」
   2-1-3-1 「父親不在」の背景
   2-1-3-2 「父親不在」から現れる問題
   2-1-3-4 父親像の再認識と父親の権威
  2-1-4 母親優位状態
   2-1-4-1 「教育ママ」
   2-1-4-2 母子関係の濃密さ
   2-1-4-3 母子の密着状態から現れる母と子の問題
  2-1-5 子供の反抗期の消失
 2-2「友達のような親子関係」について語られている内容
  2-2-1 父親不在と「友達のような親子関係」
  2-2-2 親は子供の友達になりえるのか

第3章 「父親不在」と「母子密着」の時代(1980年~1988年)
 3-1 時代背景
  3-1-1 親離れ・子離れ、自立
  3-1-2 親の教育、しつけ
  3-1-3 「父親不在」
   3-1-3-1 「父親不在」の問題
   3-1-3-2 父親に求められるもの
  3-1-4 「母子密着」と「母子癒着」
   3-1-4-1 「母子密着」「母子癒着」の背景
   3-1-4-2 問題点
 3-2 「友達のような親子関係」について語られている内容
  3-2-1 親子は友達になりえない
  3-2-2 父親と「友達のような親子関係」

第4章 登校拒否・不登校の原因の「母子密着」と「父親不在」(1988年~1996年)
 4-1 時代背景
  4-1-1 登校拒否と不登校、その原因
  4-1-2 「父親不在」と「母子密着」の状況
   4-1-2-1 父親と母親の問題
   4-1-2-2 「父親不在」
    4-1-2-2-1 父親の問題
    4-1-2-2-2 父親はどうあるべきか
     4-1-2-2-2-1 父親の存在の重要性
     4-1-2-2-2-2 登校拒否・不登校の子供への対応
   4-1-2-3 「母子密着」と「母子癒着」
    4-1-2-3-1 母親について
  4-1-2-3-2 様々な角度から語られる「母子癒着」
   4-2 「友達のような親子関係」について語られている内容
  4-2-1 一般の人の理想である「友達のような親子関係」
  4-2-2 父親のイメージの変遷と「友達のような親子」

第5章 「友達のような親子」「友達親子」が多く語られ始める頃(1996年~2005年)
 5-1 時代背景
  5-1-1 子供の問題
  5-1-2 親の問題
  5-1-3 「父親不在」
  5-1-4 「母子密着」と「母子癒着」
   5-1-4-1 母子の密着状態
   5-1-4-2 男の子から女の子へ
 5-2 「友達のような親子関係」について語られている内容
  5-2-1 理想的な関係
  5-2-2 「友達のような」親子関係
  5-2-3 「友達親子」

第6章 思春期の子供と「友達親子」(2005年~2013年)
 6-1 時代背景
  6-1-1 『児童心理』の特集の傾向
  6-1-2 「母子密着」と「母子癒着」
  6-1-3 反抗期に関する論文
 6-2 「友達のような親子関係」について語られている内容
  6-2-1 父と息子の「友達親子」
  6-2-2 母と娘の「友達親子」
  6-2-3 「友達親子」全体としての評価

第7章 まとめ・考察
 7-1 第2章から第6章までのまとめ。
 7-2 考察と感想
 7-3 反省と今後の展望

参考文献一覧

巻末 参考『児童心理』一覧



【概要】
 最近の親子関係、特に母親と娘は「友達親子」と呼ばれる関係が多く、メディアでも注目されている。 「友達親子」は親と子で対等な関係を築き、同じ趣味を共有したり、一緒に買い物に行ったりする。 「友達親子」という言葉は1990年代ごろから使われ始めていたが、「友達のような親子関係」は1970年から存在する。 本論文では、児童教育専門誌、『児童心理』の1970年から2013年までを扱っている。 そして、そこに記載されている「友達のような親子関係」についての語りの変化、および変化の理由や変化に関わった背景を明らかにすることを目的としている。
 その結果、1970年代は「親が子供を教育・しつけ」ができるのであれば「友達のような関係」は、親子の理想的な関係として語られている。 しかし、「友達親子」の多くは、過保護あるいは支配的な母親であり、子供の自立や成長の機会を奪っているため、2013年に近づくにつれ、そのような関係は否定的な言説に変化して行くことも分かった。