きぬ
~第4回発表振り返りレポート~

 10月23日、24日にかけて第4回発表が行なわれた。全員の前で発表し、ゼミ生や先生の意見をもらえる機会というのがこの発表で最後であったため、「皆に現在の進捗状況と卒論を書いたうえでの疑問点を言わなければ」という気持ちが大きかった。これから、どのように準備をして発表したのかを述べたいと思う。

 私のテーマは9月下旬に決定し、『Twitterにおいて日本のイェソン ファンコミュニティはどのように構築されていったか』となっていた。今回の発表まで、「なぜこのテーマか」などを書いた序論、Twitterについて述べた第2章、イェソンファンコミュニティについて述べた第3章、そして現在Twitterとイェソンファンコミュニティ双方を絡めて書こうと考えている第4章に取り組んでいる状態である。本論文を執筆するにあたり、TwitterやK-POPアイドルの成り立ちについて書かなければならない。そのような知識も含めて書かなければ、TwitterやK-POPアイドルについて知らない人たちが読んだときに意味の分からない論文になってしまう。そのため、10月現在ではTwitterとK-POPの成り立ちについて調べている。しかし、「この本には何が書かれているのか」をあまり深く考えずに選書してしまったため、内容が少し違っており、うまく内容を論文に反映することができなかったのである。そのため、TwitterとK-POPの成り立ちについて述べる章に関してとても内容の薄い物が出来上がってしまった。次に、どう書くべきか最も悩んだものが「イェソンファンコミュニティ」についてである。説明しなければ読者には分からないと先ほど述べたが、説明するにも、どのあたりまで説明したらよいか分からず、「SUPERJUNIORのメンバーであるイェソンのファンコミュニティである」としか言えないのでは?という考えがずっと渦巻いていた。このような考えに至ってしまったのも、「とにかく『好き』という感情から離れなければいけない」と思ったからである。ファンコミュニティについて説明しようとすると、自分の経験の話が混ざってきてしまう。客観性に欠ける論文が出来上がってしまうことを避けていたのだ。また、そのような主観だけで書いたもののためだけに1つの節を作るわけにもいかない。内容を濃くするために詳しく書こうとすると、「ファンの立場から見たイェソンファンコミュニティの紹介になってしまうのでは?けれど、どのように説明したら良いか分からない……」といったようなループに陥ってしまう。あまり悩んでいても仕方ないので、そこはひとまず置いて次に進んだ。

 私の論文において、もっとも大事であることが「イェソンファンコミュニティがTwitter上においてどのように構築されていったか、Twitterを媒介としてどのように拡がっていったのかをどれだけ綿密に見られるか」であると考えている。それらを明らかにするために考えた方法が「Twitter上におけるアンケート調査」であった。アンケート調査をしようと思った理由が2つある。1つ目は以前に授業の一環で個人的にTwitter上においてアンケート調査を行なった際のことである。その時は50人程の人数が協力してくれた。今回もそのように行なえたらと考えたのだ。2つ目は、イェソンファンコミュニティに所属しており、なおかつTwitterユーザーである人に調査を行なうのが最も確実な方法であると考えたからだ。しかし、調査できる人数が不確定であり、しっかりとしたデータが取れるかが不安であった。

 次に発表についてである。私は第3回発表の際と同じように、レジュメと台本を作って発表を行った。前述した「イェソンファンコミュニティについてどの程度説明をすればよいか」「調査方法としてTwitter上でのアンケート調査は適切か」について質問しようと考えていた。私にとって今回の発表は「人の意見を吸収すること」に徹する回であった。前回の第3回発表では、がむしゃらに自分が今考えていることを吐き出し、整理するつもりで臨んだが、今回は違ったのである。論文を書き進める上で分からない点などが出てきて、前回までの発表とは異なり、「自分が聞きたい点」というものが明確になっていた。

 自分の卒論テーマが決まったのが、夏休みが明けて最初のゼミである9月25日だった。それ以降、「テーマが決まった」という安心感からか、その頃行なっていた「1-3年授業振り返りホームページ」「東京貼り紙マップ―舞浜編―ホームページ」作成をして、家に帰って少し本を読んで、いつのまにか寝てしまうという日々が続いた。まさに気が抜けてしまったのである。テーマが決まってからこそ、スピードを上げて書き進めなければならないのに、序論を少しずつ書くだけで、これといった進歩が見られなかった。そのために発表内容としても内容がとても薄く、それは60分という時間が与えられていたにも関わらず、私が発表を行なったのは20分間であった。この数字にも表れていると感じる。長ければいいというものでもないが、書き進めていれば話さなければならないことも自然と出てくるはずである。

 当日の発表では主に、書き終わったところと、それを通して出てきた疑問点、今後の予定について話した。その時点の私の進捗状況としては、序論の「なぜこのテーマか」ということと、K-POPの成り立ち、日本における「韓流」ブームについて、Twitterについて、イェソンファンコミュニティについての5点を書き進めている状態であった。どこかを完全に終わらせるというより、「書けるところからどんどん書き進める」といった手法をとっていた。現在の私にとっては時間がとても惜しく、とにかく書けるところから書き進めたいという気持ちが強かったのだ。

 発表で話した疑問点は、主に現在作成した目次の中に、浮いている節があるということと、Twitter上でのアンケート調査についてであった。目次に関しては今後執筆していく上で微調整していくとして、調査法については早急に決めて取り掛からなければという焦りがあった。私の卒論の中心になる部分に関わることだからだ。そして、そこで発表の中で先ほど述べた「アンケート」に関して話した。すると、先生からの講評において、「論文を書く上で、深く考えずにアンケートを実施してはいけない。聞き方によっては答えを操作できてしまうし、アンケートを実施するには勉強が足りない」との指摘を受けた。私は卒論を書くにあたって、アンケートは有効な手段なのだという先入観があった。手に取った論文などで、よくアンケート調査を実施していたからである。その勝手な先入観だけで調査法を決めてしまっていた。一度その場で「Twitter以外で調査をしようか」と漏らしたのだが、「<きぬ>の論文はTwitterが最も重要であり、それを使わずに調査するのは難しいのでは」とゼミ生からアドバイスをもらった。現在、その調査法については模索中である。

 次に、イェソンファンコミュニティについてである。この点に関しては、「現在の私の目次には『イェソンファンコミュニティ』がどのように成り立ったのかということが書かれていない」と先生からアドバイスをいただいた。ファンコミュニティそのものについての説明に気を取られすぎていて、そのような根本的なところについて言及されなくては気付けない状態が情けなかった。これからはイェソンファンコミュニティの成り立ちを、雑誌を通して見ていく。SUPERJUNIORイェソンに関する箇所だけではなく、K-POPアイドル、または俳優がファンについて語っているところ、コラムなどを通してファンコミュニティがどのように成立していったのかを読み解くのである。現時点で雑誌をピックアップしたところ、どの雑誌に関しても刊行してからそれほど時間は経っていないようであった。「韓流ブーム」は2003年に放送された「冬のソナタ」から始まったとされている。そこから現在まで10年しか経過していないためにどの雑誌に関しても、それほど冊数はなかった。そのため、よりファンコミュニティについて深く知るためにもしらみつぶしにあたろうと考えている。雑誌での調査が終了し次第、次はインターネット掲示板の調査に移る予定である。現在考えているものが2ちゃんねるでの調査である。現在、イェソンに関するスレは17つほどあり、その中から同時に「Twitter」に関する話題も拾っていきたいと考えている。Twitterで行なったツイートは最高で3200件までしか遡れないために、ネット掲示板などのTwitter以外のところからTwitterでのコミュニティはどう語られているのかを見ていくことになった。先生が「この、ツイッターを全て遡れないということは<きぬ>の論文にとって大きな傷となる」とおっしゃったとき、私はどうにもできないことへの悔しさがあった。だからこそ、掲示板を見ていく上では調査漏らしがないよう、徹底的に取り組んでいくつもりである。

 また、この「イェソンファンコミュニティ」について述べるにあたり、「日本と韓国のK-POPファンコミュニティ」についても調べる必要があるとのアドバイスもいただいた。現在、最も懸念しているのが、この部分である。もともとアイドルについての学術的な文献は非常に少なく、更に韓国のアイドルファンコミュニティとなるとほぼ皆無に近い。そのため現在考えている方法が、「K-POPに関する雑誌を読みつつ、韓国のネット社会上でのコミュニティがどのように形成されているのかについて述べられている文献にあたり、解き明かしていく」というものである。現在数冊K-POPに関する雑誌を閲覧したのだが、「日本と韓国のK-POPファンにインタビュー」といったような特集もあった。そこには自分がK-POPアイドルファンをするにあたって、どのように活動しているのかなど、「ファンの実態」のようなものが書かれていた。そして、そのような記事を見ていてもやはりK-POPのプロモーションにおいて「インターネット」というものは重要であるように書かれていた。例えば、「Twitterでアイドルの素顔が見られたような気がして嬉しい!」や、「インターネットを使ってチケットについてのお得な情報を得る」などである。そのような点などを絡めてK-POPファンコミュニティがどのように成立・発展していったのか見ていきたい。この方法について、しっかりと日韓両国のファンコミュニティについて論じられるのかといった不安がないと言ったら嘘になるが、もう迷っている時間も残されていない。現在では既に論文の肝である調査に取り掛かっているはずだったのだが、この時期に「雑誌を調べ、まとめる」ということをしなければならなくなった。とにかく時間勝負である。しっかりとスケジュールを決めて取り組んでいこうと思う。

 私は、今回の発表を通して「迷っている時間があるなら手を動かさなければならない」ということを強く実感した。少々乱暴かもしれないが、そのぐらいの気持ちで取りかかろうと思う。これからは同じような反省点を出さないためにも、今後の取り組み方について今までのものから一新しなければならない。そのために最近は国会図書館に行くようにしている。今まで家か学校かで卒論執筆に取り組んでいたため、環境から変えてみようと思ったのだった。また、雑誌について調査することになったため、雑誌のバックナンバーがそろっている国立国会図書館のほうが効率良く進められると考えたからだ。ついこの前初めて登録したのだが、「国立国会図書館」という名前の通り、雰囲気が厳格な気がして足を踏み入れた途端、気が引き締まったのを覚えている。これからは周りからの刺激を受けつつ、自分の執筆を進めていこうと思う。 

  

 そして、本来ならば11月にももう1度発表の機会があるはずであった。しかし、ゼミ全体の進捗状況を見て、今回の発表が最後ということになった。発表の時間を執筆の時間にあてたほうが良いと判断したためである。今までの私なら、「先生の決定ならば仕方がない」といったように受身の姿勢になっていただろう。しかし、今後書き進めていくうちに、またゼミ生や先生に話を聞いてもらいたい箇所が出てくると思う。個別に相談することも可能ではあるが、発表においては人数も集まっているためにディスカッションといった形式で、1つのアドバイスから更に発展して助言をもらえることもある。「決まったなら仕方ない」と受身にならず、今後死に物狂いで書き進め、「11月にも発表をしよう」と考えられる状況にしなければと思う。このことは今後の私たちの執筆の進捗状況次第であるため、気を引き締めていきたい。

 また、今回発表終わりの全員での振り返りにおいて、「これからはメーリスで積極的に声掛けしていこう」という意見が出た。この「声掛け」というのは、例えば国会図書館にいたときにお昼の時間になれば「今国会図書館に居る人、お昼ごはんを一緒に食べませんか?」といったように声掛けをするということだ。現在、お昼頃になるとそのようなメールが行き交っている。ただ個人で執筆して考えに行き詰らないように、これからは積極的に周りのゼミ生に意見を求めるなどして頼って行こうと考えている。

 私に残された時間は泣いても笑っても、学校に提出するまで2カ月と少しである。12月にはゼミ内提出もある。長谷川ゼミでは、正式に学校に提出する前にゼミ内でも一度提出する機会が設けられているのである。それらにしっかり間に合わせるのはもちろん、「これが私の大学4年間の集大成だ」と胸を張れるような卒論を書きあげたい。私がゼミへの所属を希望したのも、「関東の大学まで来て、そのまま何もしないで卒業していくのは嫌だ」と考えたからだ。地元である宮城から上京し、この学科に在籍して、このようなことを勉強したのだという目に見える集大成のようなものが欲しいのだと思う。そして、テーマも自分の書きたかった「K-POP」、更には「イェソン」に関係しているものに決定できた。今後、自分の怠惰のせいで後悔するような結果にならないよう、必死に自分の納得がいく卒論を完成させたい。