TVドラマ『おれは男だ!』にみる「青春」イメージ
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 私の卒業論文の目的は、1971年に放送されたTVドラマ『おれは男だ!』(※1)において「青春」というイメージがどのように表されているのかを明らかにすることである。
 私は以前から小説自分自身の行動や経験などを、自分の中にあるぼんやりとした「青春」のイメージと比較してしまうことが多かった。私が持っていた青春のイメージには、今まで読んできた小説や、見てきたTVドラマからの影響がとても大きいため、論文では『おれは男だ!』という全43話のテレビドラマのうちの、1話から24話までを論文の対象と決め、物語のあらすじや登場人物、作中で登場する要素に注目して視聴を行い、論文の題材とした。
 論文は全5章からなり、序章で論文を書くきっかけと論文の構成を述べ、2章で『おれは男だ!』の24話までの各話の内容と24話を通した内容、そして登場するキャラクターや象徴的だったりキーワードになるポイントをまとめた。次に3章で、「おれは男だ!」が放送されていた当時に発売されていた『週刊TVガイド』(※2)という雑誌における、『おれは男だ!』に関連する記事と、読者投票によるTV番組のランキングの推移を調べ、4章では、作中の「性」に関連する事柄と、「ウーマンリブ」(※3)の二つに注目してそれぞれの調査結果を述べた。そして最後に、5章でそれまでの内容を踏まえて、『おれは男だ!』における「青春」イメージについて、考察を行った。
 これらのことを通して、『おれは男だ!』における「青春」とは、高校生の男女が主体となり、学校生活、家庭、異性関係や恋愛、将来について悩むことのできる一種の特権的なものとして表されていたことが分かった。しかしそれは実体のないイメージであり、それがあたかも実在するかのように語られていることが分かった。  また「青春」というイメージそのものについての考察は極めて限定的なものにとどまるが、「青春」とはそれまでにあった「青春」像を反復し、再生産することで形成されるステレオタイプ的なイメージだということを、論文の執筆における作業を通じて実感し、知ることができた。

※1 津雲むつみの漫画、およびそれを原作として1971年から1972年にかけて森田健作主演により日本テレビ系列で放送されたTVドラマ
※2 東京ニュース通信社により1962年から発行されているテレビ情報誌。
※3 ウーマンリブ(英 Women’s Liberation):1960年代末から1970年代初頭にかけてアメリカ合衆国や欧州、日本などで起きた女性解放運動。